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| トリノ五輪などの報道を素材にメディアリテラシーについて考えた安孫子教諭の授業 |
札幌市の定山渓温泉街の外れに位置する、全校生徒二十一人の市立定山渓中(小林美知子校長)。生徒の意見を丁寧に引き出しやすいという小規模校の強みを生かし、十二月中旬、社会科の安孫子和典教諭は、新聞などの情報の背景を読み取り、活用するメディアリテラシーの授業を行った。
三年A組の九人が見つめる中、安孫子教諭は黒板に二つのスポーツ新聞の一面を掲示。一つはフィギュアスケートの安藤美姫選手がトリノ五輪での活躍を誓う−という話題を報じ、もう一つは荒川静香選手の金メダル獲得を伝えている。
安孫子教諭は次に、今年一月から五輪開催までの北海道新聞で、二人に関する記事の本数を比較してみせる。世界選手権での優勝経験を持ち、実績のある荒川選手が三十六本だったにもかかわらず、五輪初の四回転ジャンプ成功への期待がかかっていた安藤選手は四十一本と多かった。「実績が記事数につながるとは限らない。ぼくらは書き手が『伝えたい』と選んだことを受け取っている」と指摘した。
続いて張り出したのは、十一月六日の北海道新聞など五紙の朝刊一面だ。イラク高等法廷で、片手を振り上げて叫ぶフセイン元大統領の写真。黒地に白い大きな文字の見出しが並ぶ。生徒は「みんな同じだ」「写真も見出しもだいたい一緒」と発言したが、一人が「四紙は見出しが『フセイン元大統領死刑』なのに、一紙だけ『フセイン死刑』になってる」と指摘した。
すかさず安孫子教諭が印象の違いを尋ねると「『元大統領』には敬意がある」「フセインに味方してるみたい」。一方、呼び捨ての方は「『死んじまえ』みたいな言い方」「死刑になって当然、っていう感じ」という声が相次いだ。
さらに記事の一段落目を読むと、一紙は「独裁者フセイン」という言葉を使い、四紙は「サダム・フセイン元大統領」。また「国民の手で裁かれた」という記述もあれば「裁判は米国主導」と書いた新聞もある。安孫子教諭は「同じ事実を報道していても、書き方によって印象は違う。そこを理解してニュースに接していこう」と締めくくった。
授業後、三野遼平君は「機会があったら自分でも新聞を読み比べ、違いを見つけたい」と目を輝かせた。稲葉奈津美さんは「記事を読む人によっても情報の受け止め方が変わると思う」。安孫子教諭は「生徒は自分で考え、自分の言葉で語る努力をしていた。いい経験になったと思います」と話していた。