*日系企業への就職念頭*「実体験」積み深まる理解
日本人の考え方や社会情勢を知り、生きた日本語を身に付けてもらおうと、北海商科大(札幌)では中国、韓国人留学生対象の講義で新聞を使っている。記事をもとに実体験を積ませ、生活習慣や文化を含めた理解に役立っている。
本年度、同大の「総合日本語」を受講するのは16人で、留学期間は1年だ。
講師を務める山栄昭二・北海学園北東アジア研究交流センター特任教授は札幌南高教諭などを経て、2002年から5年間、中国の大学で日本語教師を務め、一昨年から北海商科大で指導している。
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リポートの書き方を指導する山栄特任教授。「新聞の子ども向け投稿欄を参考にして」などとアドバイスする |
留学生の多くは日系企業への就職を目指しており「職場に適応し、真の交流を図るには社会の実情を知る必要がある」と、当初から新聞を活用してきた。
前期に必ず使うのが、読みやすく時事性の高い各紙朝刊1面の記者コラム。毎回横書きして注釈をつけ、文中の言葉を使った作文や意味を問うワークシートを作っている。
韓国・大田大4年の李ハナさんは「言葉のニュアンスを理解するのは難しいが、語彙(ごい)が増えた」と実感する。
講義の特徴は、記事をもとに実体験を積むよう工夫している点だ。毎回提出するリポートのテーマは「YOSAKOIソーランを見て」など、会場に行かなければ書けない題材を選ぶ。
邦画を紹介した芸能面の記事を読む時は「映画館へ行き、自分と日本人の反応の違いを観察しよう」と提案。プロ野球日本ハムの記事を使った際は、学生が「先生の薦めで試合を観戦し、バイト仲間と共通の話題ができた」と報告してきた。
自国とのメディアの違いを感じる学生も多い。中国・煙台大3年の任安hさんは「日本の報道は自由すぎて、国民の意見がまとまらないのでは」。一方、中国・山東大威海校3年の趙東平さんは「政治の悪い点を伝える姿勢は評価できる」といい、受け止め方は多様だ。
だが、昨年度の学生からは「自国でも起きていることをすべて知り、悪い点はみんなで解決法を探りたい」「日本だけでなく、世界の出来事が分かるようになった」といった感想が寄せられた。
中国、韓国は暗記型の厳しい受験勉強で知られるが「広く深く考える力が付いた」という学生もおり、「思考力、判断力も育っている」と山栄特任教授は手応えを感じている。