新聞活用、図書館から 情報整理、使える資料に(2の1)*高知・大津小

掲載日:2010/07/26

*担任と連携し生きた授業に

 学校の情報収集の拠点・学校図書館。しかし、日本新聞教育文化財団が昨年末まとめた全国400のNIE実践指定校への調査では「内容が難しい」ことなどを理由に、館内に新聞を置くのは半数にとどまる。29日からの第15回NIE全国大会熊本大会にパネリストとして参加する高知市立大津小の北村有紀司書教諭は、全学年に新聞を資料として活用する方法を指導、道内実践指定校の石狩翔陽高もスクラップブックを作成して授業を支援している。使用目的を明確にすることで、「蔵書」としての価値が高まりそうだ。

  新聞コーナーに、坂本龍馬直筆の新資料発見を報じた記事を張る北村教諭。手紙の原寸大写真が目をひく
  自分の選んだ記事の感想を発表する6年生。選び方は「図書の時間」で学んだ
 
(上)新聞コーナーに、坂本龍馬直筆の新資料発見を報じた記事を張る北村教諭。手紙の原寸大写真が目をひく(下)自分の選んだ記事の感想を発表する6年生。選び方は「図書の時間」で学んだ

 「つゆの日は 読書をしよう 図書館で」「夏休み 長い話に挑戦だ」  
 6月に行った図書館イベントで児童が作った川柳が、廊下の壁を飾る高知市立大津小。図書館を使ったコミュニケーション能力の育成に力を入れており、全学年の国語科に週1回「図書の時間」を設け、司書教諭と担任のチームティーチングで調べ学習の方法を指導している。  
 主に使う資料は、低学年が図鑑、中学年は百科事典。高学年はより専門的な本を読んで与えられたテーマについて情報収集するなど、段階的に進めている。  
 こうした活動の中で、2007年に赴任した北村有紀司書教諭は、図書にはない速報性、多様性を持つ新聞を情報として使いこなせるよう工夫を凝らす。  
 図書館横に「新聞コーナー」を設け、1週間分の高知新聞、朝日小学生新聞などを配置するほか、「社会のできごと」「世界」「自然」などの項目別に切り抜きを張り、新聞が目に触れる機会を増やしている。  
 注目してほしい記事を各クラスに配る「おとどけスクラップ」や、全児童が「スポーツ」「ことば」など5分野の記事を集め、要約、感想を書いて提出すると、図書館の本を一度に3冊借りられる「新聞ラリー」も実施している。  
 「図書の時間」でも学齢に応じた新聞活用を行っており、低学年は写真を見て記事の内容を類推し、中学年は記事中の漢字を辞典で調べる。  
 6年生には「資料の見方」を指導するため大災害の報道を時系列で読み、日がたつにつれて死傷者数や被災者の声が明らかになることを示して「現地の人のようすを詳しく知りたければ、発生直後よりも3日目以降の記事を参考に」などの結論を導き出した。  
 4、5年生の国語科の授業には地元紙の記者を招き「結論から書く」「意見と事実を分けている」といった記事の構造を聞いて情報を読み取る技術も学んだ。  
 肝心なのは司書教諭がすべてを担うのではなく、軌道に乗ったら担任に主導権を渡す点だ。  
 「おとどけスクラップ」は1年間続けたあと、時おり各担任に記事コピーを渡す方法に切り替えたが、今春、近くの小学校の新入生が川で水死したことを受け、1年生の教諭が「道徳で生かせないだろうか」と北村教諭に相談。事故を報じる地元紙の記事をシートに張って内容を説明し、思いを書かせた。  
 「保護者の関心も高く、親子はもちろん教師と児童、児童と児童、保護者と教師で話題を共有し、防災意識が高まった」と北村教諭は言う。  
 新聞で教材探しをするために教師が図書館を訪れる機会も増えたといい、「授業づくりの中に自然と取りこまれていけば」と北村教諭は期待している。

戻る