<NIE・教育に新聞を 実践校の子供たち>1*渡島管内椴法華中*合併の是非*財政めぐり討論白熱  掲載日:2003/02/17


  二月上旬の穏やかな朝。渡島管内椴法華中二年の大森美希さん、小山内美香子さん、杉山綾香さんの三人が、いつものように国道沿いの学校に向かう。通学路から見える椴法華村の街並みは、幼いころからほとんど変化がない。しかし三人には、これまでとは少し違った村の側面が見えるようになった。

 国語の神龍治教諭(39)が「市町村合併の問題でディベートをしよう」と二年生二十一人全員に告げたのは、二学期初めだった。神教諭は続いて生徒たちに、北海道新聞地方版に掲載された記事のコピーを配った。

 表題は「描けぬ将来」。道南の合併論議を追った連載で、各自治体の思惑や苦悩をつづり、椴法華村の窮状も紹介していた。「村財政はあと数年しか持たない」とする村長のコメントに、危機感が漂う。

 小山内さんの第一印象は「難しい字ばっかり」。でも読み進むうちに、問題点が分かってきた。新聞は「とても遠い存在」で、見るのはテレビ欄だけだった大森さんも、この日を境に、新聞のページをめくるようになった。

 ディベートは、一つのテーマをめぐって賛成派と反対派が討論し、審判が勝敗を決める。大森さんは賛成派、小山内さんは反対派、杉山さんは審判団の一人になった。

 学校祭のメーン行事となったディベートには、一般の村民も傍聴に訪れ、約八十人が耳を傾けた。あえてリハーサルはせず、ぶっつけ本番だった。

 白熱したのは財政問題。「大きくなれば他の地域に負けない競争力がつく」と訴える賛成派。「小さな村は活力を失い、一層不便になる」とする反対派。

熱くなって言い合いになる場面もあったが、村の将来を真剣に考えようとする意気込みは、聞き手に十分伝わった。

 杉山さんら九人の審判団の判定は反対六、賛成三で、反対派に軍配を上げた。

 ディベートを経験し、新聞との接し方が変わった。杉山さんは最近、地方版によく目を通す。大森さんは、合併問題の記事を読む。小山内さんは、ごみ問題が気になりだした。

 三人とも、椴法華が大好き。道で村人とすれ違えば、必ず声がかかる。足りないものは少なくないが、村の良さを残しつつ、夢のある将来を描きたい−。それが三人の願いだ。

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 道内では毎年、小、中、高校の計二十八校がNIE実践校となり、新聞を授業に活用している。新聞がどう生かされ、子供たちがそれをどう受けとめるのか。子供たちの目を通し、実践の素顔を追う(7回連載します)。
 
【写真説明】学校祭で合併問題を論議する椴法華中の生徒たち。議論は財政問題をめぐって白熱した

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