| <NIE・教育に新聞を 道外3高校の実践>下*三重・セントヨゼフ女子学園高*風刺漫画から設問/生徒が授業を採点 掲載日:2004/06/07
北朝鮮の金正日総書記との首脳会談に出発する小泉純一郎首相が、羽田空港の搭乗機のタラップからにこやかな表情で手を振っている。肩から掛けたタスキには「未納をなくそう」とあり、見送る人たちがタスキを指さし、なにやら話している。説明文はひと言「はずかしながら」−。
三重県津市の私立セントヨゼフ女子学園高校(生徒四百十人)の五月の定期試験。北川保教諭(61)は三年生の「現代社会」に地元紙の政治面に掲載された風刺漫画をそのまま出題し、「首相のどのような出来事を表していますか」と記述式の答えを求めた。
普段から新聞を活用した授業を行っており、社会保障をテーマにした直前の授業では年金改革をめぐる国会の論戦などを取り上げた。だから、風刺漫画の設問も、生徒には、それほど違和感はなかった。
北川教諭は一年生の社会科も担当している。五月下旬から始めた「政治シリーズ」では、新聞記事のほか、テレビ報道のビデオを使い、首脳会談の結果を受けた拉致被害者の家族五人の帰国を取り上げた。生徒は二人ずつ向き合い、意見を述べ合った。
生徒が提出した「記録ノート」には、率直な感想が書かれていた。
「(首相が拉致被害者のために訪朝したことで)国民の幸せのために国家がつくられた、ということがよくわかった」
「(首相を批判する)被害者の家族会のインタビューを聞いていて、とても複雑な思いにかられた」
この記録ノートは、授業のたびに順番に書いている。単に学習の到達度をみるためだけでなく、北川教諭にとっては生徒たちの興味、関心をつかみ、今後の授業に役立てる貴重な提言でもある。
「新聞や映像を積極的に活用しているのは、まさにタイムリーな教材だからです」−北川教諭がNIEに取り組む理由は実に明快だ。だが、ともすれば、教える側の思いだけが先行し、生徒があふれる情報に戸惑い、未消化のまま授業が終わってしまうケースも少なくない。
そこで、「自分自身の教え方の欠点もわかるので」と、二十年前から続けているのが、授業に対する生徒からの五段階評価だ。報道が狙い通りの「生きた教科書」になっているかどうかを見極める自己検証でもある。
昨年後期の生徒の採点は、新聞活用に九割が「4以上」の高い評価をつけたものの、生徒一人一人に課した新聞切り抜きの作品づくりは「2以下」が三割あり、受け止め方が分かれた。
北川教諭は「授業は生徒と教師とでつくるもの。難しかったけれど面白かった、という授業を目指しています」と謙虚に語っている。
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この連載はNIE推進センターの藤井正友が担当しました。
【写真説明】生徒に新聞を見せて回るセントヨゼフ女子学園高の北川教諭
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